日本財団 図書館


 

シンポジウムで興味深かったのは、日本とカナダの場合こうした代替案が、ウォーターフロント用途が適切なバランスで統合され、高質のウォーターフロント開発を促進するための最良手段であるとは、担当当局によって判断されなかったことである。

 

日本政府(運輸省を通じて)とカナダのオンタリオ州政府(環境省および地方自治省を通じて)はともにまったく異なる媒体を選択したのである一それは投資者やあらゆる階級レベル、つまり公共と民間、地方と国家(と国際組織)、港湾と非港湾の利益、市民等に対応できる調整部局である。

 

創設された調整部局は日本では第三セクターと呼ばれるもので、公共事業的なセクターと民間企業的なセクターの性格を半々に持ち、それぞれの利点を生かし合える媒体である。

 

3b (財)港湾空間高度化センター
1985年に日本政府は非営利団体としてWAVE(もとはWARRC)を設立した。これは以下の項目を実施する際の委任能力をもつシンクタンクと考えられる。
・ウォーターフロント計画の開発時に運輸省の援助をする
・調査を行う
・ウォーターフロントに都市を連携させる
・1995年に環境調査部門が加わった際に名称が変更された。

 

地方政府および中央政府の職員、銀行、海運業および商業関係の経営幹部、大学教授などから指名されたメンバーからなる幹部会の指示の下、WAVEは100カ所に及ぶ港湾とそのウォーターフロント計画に参加してきた。WAVEは特に「市民のための港湾計画」に力点をおき、輸送運搬の用途とそれ以外の用途の均衡を図りながら、同時に21世紀に出現する用途にも対応できる余地を残しつつ、解決策を模索し対策を立ててきたのである。

 

WAVEの仕事は運輸省、港湾開発当局、地方自治体及び企業から2年契約で職員を採用して行っている。この方法は政府の関係省庁間の連携を促し、公共部門と民間部門の協力と理解を生み、知識と経験を深め、現場で実際の建設を進めるものである。

 

3c ウォーターフロント・リジェネレーション・トラスト
セントラルトロント・ウォーターフロントで起こったウォーターフロント開発の方法をめぐる一般市民からの強い批判に対し、連邦政府と州政府が1988年と1989年に設立した連邦・州合同調査委員会(トロントウォーターフロントの未来に関する王立委員会)がまとめた推薦案の実現に向けて、オンタリオ州政府が1992年に調整役として設立したのがウォーターフロント・リジェネレーション・トラストである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION